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新規再来率を上げたい!

 人口減少の時代、どうしても新規集客は難しくなります。そのため、一度来たお客さまをいかに逃さず固定化するか、新規再来率アップを最重要課題に掲げる経営者は非常に多いです。

 E代表の美容室は、1店舗でスタッフ数人。技術客単価約7,000円と、地域の平均的サロンです。幸いにも立地にも恵まれ新規集客には苦労していませんでしたが、再来率は40%程度にとどまっていました。

「新規再来率を上げたい」との相談を受け、さっそくサロンを観察。スタッフは皆礼儀正しく、会話上手で良い印象を受けました。

 それで念のため、客としてサロンを訪れ、施術を受けてみることに。・・・するとそこで、問題が浮き彫りになりました。

 私からのヘアカラーのオーダーに対し、技術者は大ざっぱに受け答えするだけで、色みのイメージに関する突っ込んだカウンセリングはなし。物足りない私の方が、自主的に詳しく希望を伝えました。そして仕上がりは・・・正直、「何かが違う」。

 まず、技術に問題があるのかもしれないと考えた私は、取り急ぎ技術指導を引き受けてくれる他店の美容師を探し、基礎から技術の見直しを行いました。

 同時に、改めてサロンを見回すとスタッフは顧客と盛り上がっているものの、髪に関する話題はほぼ皆無。確かに距離を縮めるのは上手で、仕事やライフスタイルなど、プライベートな情報を引き出すことには熱心なのですが、しかし、それをヘアスタイルの提案につなげるわけではありません。また、髪に関する悩みや要望を聞き出したり、情報を提供したりする意識が見られず。ただその場を楽しむだけで終わっているようでした。

「違う、逆。お客さまはプライベートを知ってほしいのではなく、まず髪を良くしたいのだ」と私は思いました。どうも、スタッフは「顧客と仲良くならなければ」と思い過ぎている。しかし実際には、顧客がサロンや美容師に対し何を持って心を開くかといえば、髪を要望通り、期待以上に仕上げることしかありません。

 そこで、「とにかく髪のことだけ聞こう」と呼びかけ、カウンセリング内容を一から見直し、施術中も髪の話題に重点を置くよう徹底しました。たったそれだけのことですが、やってみると大違い。まずネットの口コミに「あんなに細かく聞いてもらったのは初めて」と好意的な反応が見られ、顧客が髪についてスタッフに質問する場面が見受けられるようになりました。やがて、新規客が翌月に再来するというこのサロンには珍しい現象が見られるように。そして半年後には、新規再来率が70%に届くまでになったのです。さらに来店周期が縮み、次回予約率が上がるという変化も生じました。

 これら全ては、顧客との関係づくりの起点を、髪に置き直した結果。顧客といくら仲良くなっても、髪を良くすることはできません。逆に、髪さえ理解し思いに応えられれば、顧客との距離は自然に縮まって行きます。信頼の入り口は髪、そんな原点の大切さを学んだ事例でした。

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