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私の毒を吸うとくれ vol.3/石原かおり

会議に咲き乱れる「言わぬが花」

「言わぬが花」。

奥ゆかしく、いかにも空気が読めそうな大人な対応を感じさせる言葉。

言わぬが花…口に出して言わない方が味わいもあり、差し障りもなくてよい。余計なことは言わない方が差し障りがないということ。

私はどちらかというと、「言うが花」派の人間で、余計なことでも言ってしまうことがある。そう、「よかれ」と思って。しかし、言わない側もよかれと思って言わないのだろう。その「よかれ」は、ときと場合によって全く「よかれ」でないことがあるので、そのシーンでの「よかれ」は何なのか、見極めてから言うか言わずか決めるようにしている。

みなさんは体験したことがあるだろうか。耳がキーンとするくらい静まり返った無音の会議やミーティング。こんな人を会議で見かけたことはないだろうか。『千と千尋の神隠し』の実写版カオナシのように無表情で参加している人。動くと撃たれでもするのだろうか、と思うほどにじっと動かずに筆圧がゼロに近いようなやる気のないメモ風の手悪さをしている人を。

今まで「言うが花」人間ゆえに、真っすぐすぎてポキンといったことが何度もあった。父が亡くなったときの葬儀の後、親戚から「あれはああするべきじゃった」「あれはいけんかった」「こういう場合はこうするのが普通じゃ」などなど相当なダメ出しをくらった。父がどこでどう死んで母と私がどういう状況だったかは割愛するが、とにかく必死で睡眠不足でもあった。あまりの攻撃にお茶を注いで回りながら「プチン」と音がした。そう、花が開いてしまった。

極度の緊張状態が続き疲れ果てた後に咲いた花は大輪で満開だった。そのときの親族一同はそれこそカオナシで、みんなでだるまさんが転んだでもしているようにフリーズしていた。大開花させている最中、親族たちの言わぬが花も大開花していた。

その場が終わり、片づけをしていると数人のおばちゃんが近づいてきて、「かおちゃん、よう言うたね、おばちゃんスカーッとしたわ!」「おばちゃんもそう思うとったんよ」。「そのときに言うてくれ」と思った。そして言うた。「おばちゃん、それ、さっき言うて助けてほしかったわ」と。

会議の場面でときどきこのシーンを思い出すことがある。会議が終わった後で、「私もそう思ってました!」「もっと言って!と思いました」。

自分も言うてくれ。そして、その時言うてくれ。「私もそう思います」でも、小さなうなずきでも。そこから変わっていくんだから。後出しはいけん。みんなにいい顔して何になる?

会議の目的をまとめてみた。

1. 報告や連絡をするための会議
2. アイデアを出す会議
3. 問題を発見するための会議
4. 問題を解決するための会議
5. 出席者のコーチングを目的とした会議

今この会議はどれなのか。1以外は黙っていていい結果が得られるものは1つもない。自分の考えがあるならば、発言してみよう。そして、上司側はその発言をシャットダウンしないようにしよう。言わなくなるのは上司側にも大いに原因はある。「どうせ言っても却下されるから」「違う意見を言うと機嫌悪くなるから」ってことってよくある。

おばはんはしつこいところがある。感情的になるところもある。でも根底は「分かってほしい」と思って諦めないからそうする。そして、「分かってもらえる」と信じてそうする。いちばんいいのはお互いに目的や目指す方向が同じで感情的にならず、伝え方を工夫すれば、「文句」が「建設的な意見交換」に変わる。

「諦めないで!」と真矢みきも言うておった。

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